アダコテック、最新論文が査読付き国際カンファレンス「ICPR 2020」に採択

アダコテック、最新論文が査読付き国際会議「ICPR 2020」に採択

~ 画像のフィルタ処理を最適化するAIに関する研究 ~


(共著者:(左)取締役 伊藤 桂一 (右)主任エンジニア 伊部 卓秀)

「HLAC(エイチラック)」特徴抽出法を用いた画像解析によりモノづくりの検査・検品の自動化を促進する株式会社アダコテック(本社:東京都千代田区、代表取締役:河邑 亮太、以下、アダコテック)は、2021年1月10日(日)から15日(金)までオンライン上での開催が予定される「International Conference on Pattern Recognition(以下、ICPR 2020)」に、アダコテックが提出した論文が採択されましたで、お知らせいたします

論文の内容は、HLACや深層学習などを用いて画像認識を行う際に必須な画像前処理の最適化を実現する手法を提案したものです。(特許出願中)本手法を用いることで、最適な前処理の方法を自動で決定することができるようになり、その結果、従来人が担っていた処理方法の決定作業の負荷が軽減するとともに、処理を行うエンジニアの技量に依らず最適な解に達することが可能となります。さらに、人手では設計し得ない複雑な前処理を可能とする点も特筆すべきポイントです。

アダコテックは、引き続きAIによる画像解析に関連する技術について研究開発に取り組み、自社ソリューションへ新たな技術の適用を進めます。また、モノづくりの現場への自社ソリューションの実装を一層促進することで、検品・検査の自動化を進め、製造業界の進化と革新をサポートする事業の展開を目指します。

※:HLAC特徴抽出法:画像の解析や認識等に用いられる認識精度に優れた汎用かつ高速な特徴抽出法。検査対象の形状や大きさを計算する際、複雑な処理を行うDeep Learning技術とは対照的に、画素値(各画素の色の濃淡や明るさを表す値)を積和演算するのみで算出可能なので、市販PCで瞬時に計算できる。また、位置不変性(認識対象の位置が変わっていても同じものだと認識できること)及び、加法性(対象が2つある場合にそれぞれの特徴の和が全体の特徴となること)という特性から、画像のなかで同じものを表す領域の境界線を見つける必要がないことや(セグメンテーションフリー)、画像に複数の異常が発生した場合も個別に特徴を認識することができるといった、画像認識にとって好ましい性質を備えた特徴抽出法である。

■ 論文タイトル
英文:AdaFilter: Adaptive Filter Design with Local Image Basis Decomposition for Optimizing Image Recognition Preprocessing
和訳:画像認識処理を最適化するための局所画像基底分解を用いた適応的フィルタ設計

■概要
近年、画像処理を用いて、対象物の状態を認識する等、対象物に関する情報を取得する 技術が盛んに利用されるようになった。画像認識には、人手による特徴量設計、統計的分析、及び、深層学習等を用いた手法が用いられる。 これらの手法において、十分な認識性能等を実現するためには、特徴抽出を行う前に画像中のノイズを除去したり、認識に有用な成分を強調するための空間フィルタリングによる前処理を行ったりする等の調整が重要となる。 そこで、画像への前処理を最適化する手法の検討を行った。画像処理に際し、一般に用いられる典型的な画像フィルタリング処理の適切な組み合わせを離散最適化により求めるという手法は既出であるが、組み合わせパターンが膨大になる場合、人手での設計は困難であり、自動最適化も計算量の観点から困難であった。一方、本手法は、適切な前処理フィルタリングを、局所画像基底の連続最適化に帰着させる新たな考え方を援用することで、適切かつ自動的に決める手法を研究した。本手法の適用により、最適な前処理の方法が自動で選択され流ため、人が担う処理方法の決定作業の負荷を軽減する。また、エンジニアの技量に依らず最適な前処理方法の解に達することが可能となり、さらにらに人手では設計し得ない複雑な前処理も可能となる。

International Conference on Pattern Recognition」(ICPR2020)について
https://www.icpr2020.it