導入事例インタビュー:東洋鋼鈑株式会社 三﨑良英 様
東洋鋼鈑株式会社は、1934年に日本で初の民間ぶりきメーカーとして誕生し、これまでの歴史の中で培った鉄をベースとした圧延や表面処理などの当社固有の技術をもとに、アルミや樹脂などの鉄以外の分野にも進出している会社です。

今回はその中でも、フラットパネルディスプレイ用途に光学用機能フィルムを展開する、比較的新しく立ち上がった『化成品事業』の品質管理部門に所属されている三﨑様にお話しを伺いました。
ご担当業務と部署規模について

当部門の業務の一つに、『出荷検査』があります。出荷検査業務のうち、外観についての検査は主に目視で行っており、一部自動表面検査機を用いております。
私の主な業務は、自動表面検査機から得られるデータを戦略的に活用し、品質・生産に関わる情報管理体制を整備・強化することです。生産性向上と製品品質の安定化に向けて取り組んでいます。
化成品事業全体の規模としては、全体で180名超になります。24時間・3交替で稼働している職場のため、人数としては比較的大きい組織です。
抱えていた問題
前述のようにフィルム製品の品質検査では、自動表面検査機を用いて欠点の検出を行っています。
検出の仕組みはルールベースが中心で、欠点の長さ・幅・面積・強度といった基準をあらかじめ装置上で設定し、その基準に従って判定する方式です。
近年、自動表面検査機の性能は向上し、欠点検出の能力も高まっています。
性能が上がるほど、必然的にルールベースでのグループ分け後の欠点の検出数も多くなります。
そこから人が有害と判断するものを弁別することになりますが、この作業は負荷も高く、どうしても判断に迷うグレーゾーンがあるため人によるバラツキも生じ、怪しいものは止める動きをとるので、余分なロス・工数が発生します。
これが長年の課題でした。
そこで私たちは、近年活用が進むAI分類技術に着目しました。
AIであれば、人が悩みがちな微妙な境界も安定的に分類できるのではないか。
そう考え、AIによる自動分類の検討をスタートしたのです。
AI分類が可能になることで期待できる効果
有害な欠点をリアルタイムに精度高く弁別できるようになることは、非常に大きなメリットです。
また現在、有害判定していないものの、検出はできている埋もれた情報も分類しデータとして活用できるようになれば、品質管理の幅が広げられます。その点も期待していることです。
“どの欠点がどの程度発生しているのか” “対象の欠点はいつからその予兆があるのか”
といった情報精度が上がれば、製造条件や4Mの変化点と照らし合わせ、分析することで改善の方向性も明確になります。
品質改善のスピードが上がり、結果的にお客様からの信頼獲得にもつながると考えています。

検討時の評価ポイント
AIによる分類を試すこと自体が初の試みであったので、まず数千点以上の欠陥画像を用いて“本当に分類できるのか”を検証しました。
その結果、アダコテック製品については以下の点が高く評価できました。
- 高い分類性能が期待できたこと
- 汎用PCだけで高速に処理できたこと
- AIの性能調整が柔軟に行えること
他社AIソフトも比較検討しましたが、
“フィルム検査の後段工程での利用に適していない” “専用PCが必要でコストが高い” “柔軟性が低い”
など、運用面・費用面での課題が多くありました。
一方でアダコテックは以下の点が当部門の期待と合致していました。
- 要望に対して柔軟に対応してくれたこと
- 対応および提案のスピードが速かったこと
- コストが想定内であったこと
これらの理由から、アダコテックの採用検討を前向きに進めることができました。
導入ハードルの低さが決め手に
他社製品では、“専用サーバが必要” “GPU環境の準備が必要” “現場への導入コストが大きい” といった障壁がありました。
一方、アダコテック製『Shiwaketter』はGPU不要の汎用PCにソフトを入れるだけで動かせるため、コスト面も含めて導入ハードルが非常に低かったことも魅力でした。

現場でのAI分類の活用状況
すでにShiwaketterで作成したAIモデルを試験的に運用していますが、これまでのルールベースでの仕分けとは異なり、品質担当者と同じ判定基準で対象が弁別されること、弁別後の欠点数が大きく減ることによる負荷・工数削減が実現できることなど、手応えを感じています。
今後に期待すること
Shiwaketterの直感的な操作やAIモデル作成時のわかりやすさは高く評価しています。
今後は社内への横展開も見据えた際に、初心者でも理解できるチュートリアルの実装や、AIモデルを実行するソフトウェアの機能が充実するとさらに使いやすくなると思います。

