導入事例インタビュー:株式会社山本製作所 小林様、板垣様
山本製作所は、1945年(昭和20年)の創業以来、“めっき技術” を中心に発展を続けてこられました。
創業当初は時計の文字盤などのめっき加工を行っていましたが、現在はその技術を活かし、プリント基板の製造を中心とした事業を展開しています。
特に本庄事業所ではプリント基板の製造に特化し、長年培われた表面処理・めっきの信頼性技術が息づいています。
品質管理課の小林様、板垣様にお話しを伺いました。



▲今回訪問した本庄事業所は、プリント基板の製造を専門とする工場で、アダコテックのAdaInspector® Cloudを導入いただいています。
検査工程で直面した課題 - 人の限界と品質の両立
品質管理課では出荷製品の保証試験、工程内不具合の対応、顧客不具合の調査など、多岐にわたる業務を11名体制で担っています。
しかし、製造が高度化・多品種化する中で、外観検査の負担と検出の限界という課題が浮き彫りになっていました。
数年前、外観検査で不具合が多発した時期がありました。
原因を突き止めようと努力しても、人による検査ではどうしてもムラが出てしまう。
『画像には欠陥が映っているのに、検査機の設定では拾い切れない』──そんな状況に直面しました。
当時は外観検査機を導入していたものの、検出条件の設定を厳しくすれば誤報(誤検出)が増え、緩くすれば欠陥を見逃す。
『画像に映ってるんだから、その画像を使ってなんかできないかな?』という思いが、AI導入を検討するきっかけとなりました。
アダコテックとの出会い
そんな中、山本製作所はアダコテックの “AdaInspector® Cloud” を知る機会を得ました。
アダコテックとの最初の出会いは、営業担当の方からのご連絡でした。
最初は、基板画像をお送りしてのテストからスタートしました。
一般的なAI検査は『大量の学習データが必要』という印象が強く、基板のように細かい欠陥を扱う製品では難しいと考えていました。
しかし、テストを通じて見えてきたのは、期待を超えるAIの検出力でした。
『良品画像の選定をしっかり行えば、人間が見落とさないレベルの欠陥をAIも同様に捉えてくれる。』
そんな感触を持てたことが大きな一歩でした。

導入効果 - 数パーセントの活用でも確かな成果
広い面積の基板にある小さな欠陥を見つけるという課題があり、当初はどこまで対応できるか不安がありました。
実際に使ってみると、『意外なほど細かい部分まで検出できる』という印象を受けました。
検査結果を見て、『こんなに細かいところまで見つけられるのか。導入前から本来はここまで検出すべきだったのかもしれない』と感じる場面もありました。
現在は、検査工程全体の数%の範囲で利用されていますが、導入効果は確かな手応えがあります。
具体的な運用例として、ベリファイ作業では元の検査機に近い操作性となるよう、弊社で独自にソフトを作成しています。そのうえで、AdaInspector® Cloudで作成したモデルをユーザーが使いやすい形へ柔軟に調整いただけたため、違和感なく運用を開始できました。
また、細かい調整を頻回に行わなくても良好な検査結果が得られており、精度の高さと使いやすさの両立を感じています。
▲山本製作所が開発したベリファイソフト。画面の左に良品、中央と右に検査対象が表示されている
未来に向けた期待
「今は数パーセントの工程でしか使えていませんが、もっと広げていきたい。最適な形を模索できればと思っています。」
-今後のAI検査開発への要望として、より大きな画像サイズへの対応など現場のリアルな声も寄せられています。
アダコテックではこうしたフィードバックをもとに、より柔軟で現場に寄り添ったAIソリューションの開発を進めています。
山本製作所からのメッセージ
アダコテックのAI検査は、既存の外観検査機と同じ感覚で使えるのが魅力です。
検出結果も良好で、細かい調整に時間をかけずに安定した検査ができますね。
同業他社に紹介するなら、“人の検査に近い感覚で高精度を実現できるAI検査” と伝えたいですね。
共創で築く、品質と効率の両立
山本製作所の取り組みは、人とAIが補完し合う品質保証体制の新しいモデルといえます。
創業以来磨き続けた「信頼の技術」に、AIという新たな要素を加えたその挑戦は、ものづくり現場におけるデジタル化の最前線を体現しています。
アダコテックはこれからも、お客様の課題に寄り添い、現場主導のAI品質革新をともに推進していきます。

